スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

何度だって手をとって 「愛してる 愛してる 愛してるよ」って



 え〜っと、月曜から行っていた旅行から水曜の朝に帰ってきて、その日はそのまま疲れでグロッキー。
 木、金は明日から入る予定だった短期バイト先から、急にきてくれと言われてグロッキー。
 昨日は高校の友人と会う約束がまたまた急に入って夜に飲んで酔って、やはりそのままグロッキー。
 何だか帰還報告が遅れました。紅露です。
 まぁ、手ブロの方は描いていたので、知ってるかたは知ってると思いますが。
 うん。メールする前にちょこっと描こうと思って描き始めたらうっかり熱中しちゃって結局メール返信できる時間じゃなくなっちゃったなんていえないんだぜ←←
 何か最近絵板の方、描いてないなぁ……手ブロで慣れてきちゃってるからかな?
 今週は妙に忙しかったなぁ……予定がギッチリじゃないか。まぁ、私の忙しさなんてたかが知れてますが。
 今日こそは返信します。こう書いておかないと、返信できなさそうだ(コラ

 鼠の王国では、チェシャ猫帽子をずっと被ってました。友人から「妙に似合う」と好評でした(笑)ピンクと紫のシマシマが似合うってww そして三木さんでも三二さんでもなくて、チェシャ猫かティガーで悩んでました。
 まぁ、チェシャ猫大好きなので、帰りに尻尾のクッションまで買ってしまいました。最近の抱き枕です。
 あのピノキオの猫の猫耳パーカーもちょっと欲しかったけど、さすがに金が……
 まぁ、とても楽しかったですがw
 心残りは、スプラッシュマウンテンが調整中で、スペースマウンテンには時間的に乗れなかった事ですかね。鼠ーの三大山(ビックサンダー・スプラッシュ・スペース)の内二つに乗れなかったのは痛い……

 
 某さん、お疲れ様でした。
 うん、復活を実は結構楽しみにしていたから、残念だとは思いますが、まぁ、仕方ありませんよね。
 いつかまた、ネットの海の中で出会える奇跡を願って、「さようなら」じゃなくて「またお会いしましょう」と言いたいと思います。

 私もDFFに嵌りかけてるし、刀ジャンルから離れかけてきてるのも自覚してるんで、どうしようかと思う点はありますしねぇ。
 いや、私はまだHP自体は続ける所存ですよ、もちろん。HPのジャンルは変わる可能性は無きにしにあらずですが、多分HP辞めてもブログは辞めないと思いますし。どうせだから、大学卒業するまではブログは続けよう。うん。
 元々HPのジャンルもよろずを歌ってますしね。刀しかまともにないけど。

 ん〜……しばらくしたら、絵茶に篭るかも……
 オリまにじゃなくて、オリジとか描いてそうですが。練習練習。
 予定は未定←



 追記は今更な小話〜
 








 もう一週間以上遅れてるけど気にしない←
 バレンタイン小話、いきま〜す
 よそ様をお借りしてる奴もありますのでご注意を







***







ぷるるるるる
ぷるるるるるるるる
ぴっ

「はいはい。何ですか? 迦陵。珍しいですね、君が仕事中に電話をよこしてくるなんて」
「あ、わたしだってわかっちゃった?」
「そりゃぁ、よくよく考えてみなさい。君、自分の携帯から私の携帯に電話かけてきてるじゃないですか。名前表示でバレバレですよ」
「あ、そっか」
「脅かしたければ、次からは非通知設定にするか他人の電話からかけてくるんですね」
「むぅ……」
「で、何の用ですか?」
「うん。今、お昼休みよね?」
「ええ。じゃなけりゃ携帯の電源を入れている訳ないでしょうに。一応、ここ病院ですよ?」
「あ、そっか。まぁ、用って程の用も無いんだけど………ん? あぁ、ハイハイ。いってらっしゃい」
「? しふく、どこかへ出かけるんで?」
「あ、うん。ちょっと待ってね……」
「はいはい、お父様。お電話変わりました。ふくめに何か御用でありますか?」
「いや、用はないんですけどね」
「そうでありますか」
「どこかへお出かけですか?」
「嫌でありますね、お父様。二月十四日の女の子の用事と言えば、決まっているでありますよ」
「……何の日でしたっけ?」
「あら、お母様お母様。お父様はお忘れのようでありますよ」
「あらあら、駄目ねぇ…バレンタインを忘れるなんて」
「………あぁ……友チョコとやらでも渡しに行くんですか?」
「嫌でありますね、お父様。ふくめはそんな媚びを売らなければ友情を維持できないような安い友情は要らないのでありますよ」
「我が娘ながら、可愛くない事をいいますなぁ」
「ふくめは可愛くなくて結構でありますよ。それに、お父様はどちらにしろ、ふくめを可愛いと思っていらっしゃるのでありましょう?」
「そう言う所がまた可愛くない。まぁ、構いませんがね。で、友チョコとやらではないのであれば、何の用なんですか?」
「嫌でありますね、お父様。バレンタインの本分は、友チョコではなく、愛しい殿方に愛の贈り物をすることにあるのでありましょう? ふくめは本命しかあげないのでありますよ」
「……ほぅ……」
「今から本命の御方のお宅へとご訪問するのでありますのですよ」
「………………早めに帰ってきなさいよ?」
「嫌でありますね。大丈夫でありますよ。朝帰りは、流石にまだふくめには早いであります」
「当然でしょう」
「ほっぺたにちぅ位でありますよ、今回は」
「………」
「では、お父様、お母様、いってまいります」
「いってらっしゃ〜い」
「………ねぇ、迦陵」
「はいはい。お父さんは心配性ねぇ」
「心配と言いますか何と言いますか……」
「何と言いますか?」
「……複雑です」
「あははっ。そう」
「笑い事ですか」
「ええ。あ、そうそう、用事なんだけどね」
「はいはい」
「今日、何時ごろ帰ってくる?」
「いつもどおりだと思いますが」
「ならいいわ」
「……それだけですか?」
「うん」
「何でまた…」
「だって、今日はバレンタインでしょう?」
「そうですね」
「だから、しふくと二人であなたの為にケーキ焼いたの。チョコケーキよ」
「おや、しふくは本命にしかチョコはあげないんじゃなかったんですか?」
「嫌ねぇ。僻んじゃって。なら、わたしからの本命だと思いなさいな。しふくは手伝ってくれただけ」
「なるほど。そういう考えもありますか。ならいいでしょう」
「だから、早く帰ってきてね。もし遅くなったら、先に全部食べちゃうから」
「それは困りました。仕事が終わったらすぐ帰りますよ」
「あ、それと、あなた、病院の方からチョコもらった?」
「……あぁ、そういえば」
「それ、わたしに半分頂戴ね」
「私が貰ったものなのに? まぁ、別に構いませんが、欲しいなら全部差し上げますよ?」
「もう。何言ってるの。それはあなたが貰った愛情でしょう? 愛情はちゃんと頂かないと」
「なら、全部食べさせてくれればいいのに」
「だぁめ」
「何で」
「夫が他の女の人からの愛を全部受け止めちゃったら、妻の立場はどうなるの? あなたは男の人の義務として、愛情は頂かなきゃだめ。でも、全部頂くのは、もっとだめなの。だから、わたしが半分食べるの」
「……君はたまに、いや、しょっちゅうだけど、良くわからないことを言いますね」
「いいの。わたしだけわかってれば」
「はいはい」
「じゃぁ、早く帰ってきてね」
「はいはい。じゃぁ、切りますよ」
「うん。ばいばい」
「花束を買って帰ってきますから、花瓶を用意していてくださいね」


ぷっ
つーっつーっつーっ……


***



篝 梟市(かがり きょういち)→母喰鳥
篝 迦陵(かがり かりょう)→迦陵(ふくの奥さん)
篝 詩吹(かがり しふく)→鳥木(ふくの娘)


描きたくなった、現パロふく家族。こいつらは甘い甘い。う〜ん、迦陵はともかく、鳥木は現パロで生きてても面白いかも……←←
現パロで家族が生きている場合のふくの職業は一応医者。精神科医です。某雨宮医院に勤めてたら面白いかも←
ちなみに、「しふく」は「至福」。でも、まんまじゃ何か格好悪いので「詩吹」と当て字してみたり(笑)で、ひらがなの方が可愛いので、ひらがな表記。チョコをあげる相手は、例のすじのかたですよ←←
ふと思ったが、猛禽共の愛はわかりやすそうに見えてわかりにくい。


***



甘ったるい匂いの根源は、今現在弟が立っている台所のオーブンの中身だ。
チーンと、少し間の抜けた音に、弟は伏せていた顔を上げる。
転寝をしていたらしい、その顔には、涎の跡がついていた。
口元を、セーターの袖で擦りながら、弟はオーブンへと向かう。
オーブンの扉が開けられると、先ほどまでの匂いがさらに濃くなった。
ふっくらと焼きあがっているココアをベースにしたチョコレートのスポンジは、湯気と共に甘ったるい匂いを鼻腔へと届けてくる。
ヘラリとした笑顔で、弟はそれを見つめている。
バレンタインというものは、この国では女から男へとチョコレートを送るのが通例であるはずだ。
が、弟は弟と言うからには男であるからして、その弟がこの日に甲斐甲斐しくチョコレート菓子を作るというのは何がどうなってそうなったのかはなはだ疑問である。
曰く、女友達から「逆チョコ」や「友チョコ」と言った存在を聞いたから、だとか。
友チョコはわからなくもないが、逆チョコと言うのはバレンタインというこの国でのイベントの定義的にどうかとは思う。
この国には、一月後にホワイトデーという、今度は男から女へ貰ったもの以上のお返しをするという男の立場から見れば理不尽極まりないイベントが待っている訳で。
そして、その日に逆プレゼントというものの存在は、聞いたことが無いわけで。
つまり、逆チョコというモノは、最近女性専用車の例でもわかるように世間を席巻している『女尊男卑』の表れなのではないか、と思わなくも無い。
バレンタインにチョコをあげて、さらにホワイトデーにプレゼント、だなんて、男の側の負担が大きすぎるような気がするのだが。
もっとも、ひょっとしたらホワイトデーには今度は女から男への「逆お返し」というものの存在が浮上してくることも、無きにしにあらずだが。
まぁ、自分は逆チョコというものには無縁な交友関係ばかりなので、特別問題ではない。
それはそうと、弟である。
気が良い弟の事だ。きっと、逆チョコも友チョコも用意しているに相違ない。
その証拠に、机の上に並べられたチョコレート菓子の数は、おそらく手があと一対あったとしても、数えるには足りないだろう。
鼻歌でも歌いそうな機嫌で、ラッピングを始めた弟は、ふと、こちらの視線に気が付いたように顔を上げた。

「何じゃぃな? 兄貴?」
「別に何でも」
「何ぞ言いたそうな顔しちょったけんども?」
「言いたいことはそりゃぁ多々ありますが、惟透が気にする事は何もありませんよ」
「そうけぇ…?」

眉根を寄せて、暫く考え込んでいた弟は、ややあって「かはは」といつもどおりに笑い、「まぁいいか」と肩を竦めた。
物事を深く考えようとしないという弟のこの性質は、こういうときには便利だ。

「兄貴は、誰かにやらんのけぇ? 渡すもんが無いんじゃったら、わしが作ったん何個かやるけんども?」
「相手が居ませんからね」
「嘘ぉ〜。兄貴、もてちょるじゃろ?」
「貰う分は貰いました。けど、こちらかた渡す分は、ありませんよ」
「そうなん? じゃぁ、友チョコで……閑隆さんはぁ? 後、礼儀さんとか。他にも、兄貴にしょっちゅうくっ付いて来ちょった子とかおらんかったけぇ?」
「ふむ……確かに、最近彼らには会っていませんが……ああ、ひょっとして、王塚さんちにも行くんで? あの子にも?」
「うん。まぁ、あの兄弟はどうせ一日じゃ喰いきれんほど貰っちょるじゃろうけんども、他の連中にやってアイツにだけやらんのも何じゃし、一応届けに行こかな〜って」
「そうですね……」

少し考えて、弟の作ったチョコチップ入りのカップケーキを一つ取り上げ、側にあったデコレーション用の可愛らしいピンクの書庫レートでハートマークを書いてみる。
それを、訝しげな顔の弟に手渡した。

「じゃぁ、ついでですし、これも一緒に届けてくださいな」
「…………ハートぉ?」
「ちょっとした嫌がらせですので、深い意味はありませんよ」
「そ、そうなん?」
「そうです。ほら、そんな顔をしたら、可愛い顔が台無しですよ?」
「かはははっ。もう可愛い言われる年でもないけんどもな。で、まぁ届けるのはいいとしても、これだけでいいんけぇ?」
「いいですよ。後は自分で届けに行って見ますから」
「あの子は兎も角……礼儀さんは奥さんとの邪魔にならんかのぅ?」
「うふふふ、嫌ですね、惟透。邪魔をしに行くんじゃないですか」

そういってやると、弟は苦笑にも似た顔で、「兄貴らしい」と言った。


***

神納 惟透(じんの いすか)→交喙
神納 秋沙(じんの あいさ)→秋沙

この兄弟は二人とも名前の響きが気に入っているので、現パロでも一緒。交喙はまんまじゃちょっと変かな?ってな事で当て字ですがw
交喙は、友チョコとか絶対好きだ。お友達の方々に配って回ると思う。
秋沙は愉快犯。わざとハート型とかにして相手の反応みて愉しんでる。多分、この人が叶と仲悪いのは、根本的な性質が結構似てる所から来る同属嫌悪だと思う←←

因みに、叶の現パロ名は、神納 叶依(じんの かなえ)。



***

甘い匂いにいい加減鼻腔が慣れてしまった頃、金時は顔を上げた。
時間は、昼と夕方の丁度中間と言った所。
趣味でもある菓子作りに、つい夢中になってしまったらしい。
一人暮らしの独身男の家の匂いには、少し不似合いな匂いが充満している部屋のテーブルの上には、先ほどまで作っていたチョコレート菓子が所狭しと並んでいる。
この時期は、チョコレートのセールが多いので、ついつい作りすぎてしまったらしい。
自分は教師じゃなくて、パティシエにでもなればよかったかもしれないな、何て馬鹿げたことを思ってみる。
一応、調理師免許も製菓の免許も持ってはいるので、もし、纏まった金が手に入ったら、もしくは溜めることが出来たら、教師を辞めて店を出すのは、昔からの夢だったりはするが。
今の所は、夢は夢であるのだけれども。
幾種類ものチョコレート菓子、ソノ中で、人にあげる分のラッピングに取り掛かる。
大きめのタルトは、家族の多い友人にあげようと、箱の中へ入れる。
ザッハトルテは、アイツとその妹へ。
カップケーキは、他の友人達か、ご近所の人に配ろうか。
日持ちするクッキーの類は、月曜に受け持ちの生徒にあげるのもいいかもしれないな、と思い、そのためには包み紙をもっと買ってこなければ、と思ったところで、ふと、玄関先の人の気配に気づく。
気配は、する。
が、五分待っても一向にインターホンが間の抜けた声を上げる様子が無い。
はて、誰だろうか、と考えをめぐらせた所で、ふと、思い当たる子が一人。
そっと、気づかれないように、窓から玄関前をのぞいてみると、予想通りの人物の頭らしきものが見えた。
何をしているのかは知らないが、何かに迷っている様だ。
ドアを開けて、何をしているのか聞いてみようか、と思う。
が、何かの決心がつかないようなあの様子では、唐突に扉を開けるのは驚かせてしまうだろう。
仕方が無いので、気づかないふりをして、恐らくこの部屋に入ってくる頃には身体が冷えてしまっているだろうあの子の為に、ホットチョコレートでも作って待ってやる事にした。



***

火裡 金時(ひのうち きんとき)→焼鯛

某方のを読んで書きたくなった←
現パロじゃ、某さんが存命らしいので、どうなるんでしょうね(笑
金時も焼鯛も、菓子作りが趣味。チョコが安いからって大量に買い込んで色々作ってそうです。



***


出来るだけシンプルなガトーショコラを出来るだけシンプルな包み紙で包んだ。
俗に言うバレンタインらしい可愛い装飾をほとんど省いたそれを見て、なんとも色気が無いと、自分で苦笑した。
唯一、飾りに貼ったリボンのシールだけが、鈍く金の光を心の形を模って反射している。
本命と気取られないように。
出来るだけ義理に見えるように。
それでも、外見が殆ど変わらない、その包みの中身には、他の人とはちょっと違う一手間をかけた。
とは言っても、間に挟んだクリームの中に、小さなハートのチョコレートを忍ばせただけだが。
恐らく、よほど丁寧に食べない限り、気づかれることはないだろう。
気づいたところで、その意味は分かるまい。
他の人との違いに気づいたところで、言い訳は簡単だ。
「当たりだ」と、そう言えばいいだけ。
逃げ道を用意する、何て自分でも卑怯だとは思うが、それでも作っておかなければ不安だ。
友人達に、友チョコを渡し終わった後、残っているのはそれだけ。
しかし、運悪く相手は外出中らしい。
行き先の予想はつくが、そこまで持っていくほどのものではない。
と、言うか、そこまで行けばただのストーカーだ。
 
「……まぁ、いいか……」

ある意味、丁度いいのかもしれない。
鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすとはよく言うが、鳴こうが鳴くまいが届くものではない事は、自明の事実。
どちらにしろ、十日もたてば蝉も蛍も土に帰るのだ。
どうせ叶わぬ恋心。
ならば、鳴くことも光ることもせずに、誰にも気づかれぬままに朽ちてしまえばいい。
朽ち果てて、何もかもなくなってしまえば、それは最初から無かったものと同じになるだろうから。
それに、休日の日に会う勇気はあまり無い。
どうせ、月曜になれば嫌でも仕事が入っているのだ。
そのときに、渡そう。
多分古くなってしまうから、新しく作り直して。
一緒に渡そうかと思っていたマフラーも、遅れた侘びだと言い訳がつく。
そう決めて、包みをそっと、袋の中へと戻した。


***

皆本 愛等(みなもと あいら)→指猿

うちの奴らは、一途乙女か色恋事に興味ないかの両極端だと思う。
結局、指は意気地なしだなぁ。
ちょっぴり友人の詩の雰囲気を借りてたり。一応好きに使っていいよって許可はあるよ!←

月曜日にまた会いましょう
日曜日にあなたに会う勇気はないから
月曜日になったら会いましょう



***


パタパタパタと、軽い足音が部屋の前で止まる。
はて、何事かと、顔を上げると、大きな音を立てて扉が開いた。

「お母はん、大変ですえ、一大事ですえ!!」
「あやや、どないしはりましたん? 夢有? そないな大声ださんでも、聞こえていますえ? なっちゃんと一緒に、バレンタインのお菓子作ってはったんちゃいますのん?」
「そ、それはもう終わりましたえ。なっちゃんは、さっき彼氏はんにチョコ渡しにいく言うて、帰りましたん」
「あや、そうですのん?」
「それよりも、大変ですえ! ちょっと来てくらはい!」

なにやら問題でも起きたらしい、袖をぐいぐいと引張る娘に半ば引きずられるように台所へと向かう。
その道程で、娘が騒いでいる理由に粗方の検討がついた。

「……夢有。焦がしましたん?」
「あぅっ………」
「あれほどオーブン使うときは気ぃつけぇて言いましたんに」
「あぅっ! す、すみまへんえ……」

顔を真っ赤にして謝る娘の頭を撫でてやりながら、とりあえず、机の上においてある、「元」スポンジを見た。
元々ココアで色付けしてあったものは、ココアの甘いチョコレート色ではなく、ほぼ黒色となっている。

「あやや……こりゃまた見事に焦がしたでありんすねぇ」
「あぃ……」
「まぁ、仕方ありまへんえ。材料は、まだ残っとりますん?」
「それが……これが最後ですえ……」

シュン、としょげた顔をする娘に、思わず溜め息が漏れる。
そういえば、今月のお小遣いは、殆どこれに消えている、と言っていた。
友人皆に渡したいのはわからないではないが、少しは妥協をしてもいいのではないか、と母として思う。
この子は義理でも妙に手間のかけたものを作りたがるので、これから先勘違いされて変な男に惑わされないか心配だ。
まぁ、今の所の心配は無いだろうが。

「これは、どなた用でしたん?」
「あぅあぅあぅ……」
「あぁ、なるほど。わかりましたえ」

わかりやすい反応に、「本命」用だということはすぐにわかる。
顔をさらに赤くした娘の頬を一度撫でてやり、とりあえず戸棚から包丁を取り出した。
黒くこげた部分をそぎ落とすように刃を入れて、中の焦げていないふんわりとしたスポンジ部分だけを露出させる。
歪な形をハート型に整えると、多少小さくなりはしたが十分に食べられるものが完成した。

「これならええでありんしょ」
「わぁ……流石お母はんですえ!」

ピョンと、たちまち機嫌を直した娘は、大慌てで出来たばかりのスポンジへとデコレーションを始める。
時計を良く見れば、もうそろそろ夕方だ。

「あやあや、急がんとあきまへんねぇ」
「あい!」

不自由な手で、必死にクリームを塗る娘に微笑を一つ、落すと、何気なく冷蔵庫へと向かう。
休日だが、急用とやらで会社へ向かった夫へのケーキに変わりはないかを確認していると、「できた!」と可愛らしい声が上がった。




***

貝塚 夢有(かいつか むう)→晩鳥
貝塚 蝶子(かいつか ちょうこ)→小灰蝶(晩鳥の母)

ちなみに、竜さんは貝塚 竜二(かいつか りゅうじ)。
こいつら家族はホエホエフワフワしてそうだ。


***


甘い匂いが台所から漂ってくる。
台所には入るなと厳命されているので、入ることはしないが、匂いで彼女が何をしているかは大体わかる。
今日は二月十四日。
普段は自分が作る側だが、今年は彼女が作ってくれる、らしい。
そのことに、心踊らないわけがない。
どんな顔をして渡してくれるのか、それを想像するだけで楽しいものだ。
きっと、照れたようにそっぽを向いて、手だけでこちらへと差し出してくるのだろう。
もし、そっけなかったら、こちらを真っ直ぐ見るまで受け取ってやらないのも楽しいかもしれない。
そんな、ちょっと意地の悪い事を考えていた、矢先だった。
彼女が、リビングに顔を覘かせた。

「鷹雄、私、ちょっくら友達ん所行ってチョコ配ってくるわ」
「…………そう、いってらっしゃい」
「夕食までには帰ってくるな」

そう言うと、彼女の顔は引っ込む。
数分後、玄関の扉が閉まる音が虚しく響いた。

「……期待させといて、これってないんじゃない?」

溜め息を吐きながら、台所へ向かう。
また、今年も自分が作るのか。
ほんの少し、溜め息を吐く。

「…まぁ、君らしいからいいけどね」

どうせ今年も作るだろうと思っていたので、一応材料を買っておいてよかった。
湯銭の湯を作るために湯を沸かしながら、ふぅ、と肩を落す。
と、同時にクスリ、と微笑む。

「仕方が無い。夜は覚悟しておいてね? 旗子君」

微笑と一緒に、ここには居ない彼女に語りかけて、慣れてしまった菓子作りを開始した。

冷蔵庫の奥深く、二人分のチョコレートムースが眠っている事がわかるのは、その日の夕食後の事。


***

火裡 鷹雄(ひのうち たかお)→鷹羽
火裡 旗子(ひのうち きこ)→旗立

あ〜、そういえばナリメ以外で露出するのは始めてかも……ヤッキー両親な二人。
鷹羽はろっさま、旗立は先代焼鯛でヅカ男優なイメージ。


***





数少ない知り合いや友人、大事な人へと贈り物を配って回り、帰ってきた頃にはもう日は傾いていた。
少し、遅くなってしまった。
四肢が殆ど動かず、目も極度に悪い彼女の世話は、今日はその手の業者に頼んではいたが、この時間ではもう帰っている頃だろう。
とりあえず、家に入り、手洗いうがいを済ませた後、台所へと向かう。
冷蔵庫の中に保存しておいたフォンデュショコラをレンジで温めながら、甘さを押さえたココアを作る。
総ての用意が整えば、彼女の部屋へと足を向ける。
暖かく甘い湯気が鼻腔をくすぐり、今回はなかなか上々の出来である事を知らせた。
扉を三度、ノックし、「どうぞ〜」との返事とともに中へと入る。

「おかえりなさいまし、旦那様」

彼女は、ベッドの上できゃらきゃらと笑った。

「変わりないか?」
「モチロンですさぁ。来てくださった方も、とても親切でしたさぁ?」
「そうか。ならいい」
「旦那様ぁ旦那様ぁ。とてもいい匂いがいたしますさぁ?」

きゃらきゃらと笑いながら、彼女はそういう。
ベッドへと近付き、備え付けの椅子の上へと腰掛ける。
目の前にぼんの上に乗ったフォンデュショコラとココアを見せると、彼女は嬉しそうにやはりきゃらきゃらと笑った。

「夕食は、もう食べたのだろう?」
「はい〜。食べさせて頂いていますさぁ」
「なら、これはデザートだな」
「ありがとうございますさぁ〜」

フォンデュショコラにフォークを入れると、中から薫り高いチョコレートがトロリと顔を覘かせる。
外側のスポンジにそれを存分に絡めて、口元へと持って行ってやると、彼女はパクリとそれを口にした。

「おいしいですさぁ」
「そうか」
「やはり、旦那様に食べさせて頂けるのが、これは一番美味しいですさぁ」
「そうか」
「あ、ひょっとして、コレ、バレンタインのこれへの贈り物、と言った奴ですさぁ?」
「そうだな…覚えていたのか」
「いいえ〜。実は、今日世話をして下さった方が教えて下さったんですさぁ。お恥ずかしながら、これは今日がその日だとすっかり忘れていましたさぁ」
「そうか…」

彼女らしいな、と思わず苦笑が漏れた。
温く冷ましたココアのカップにストローを刺してやっていると、ふと、いつもは所在無さげにそのに有るだけの彼女の不自由な手が、かすかに動いた。

「? どうかしたのか?」
「はい〜。旦那様ぁ。これ、これのベッドの下を見て欲しいですさぁ」

どうやら、下を指差そうとしていたらしい、彼女の手がかすかに上下した。
とりあえず、ベッドの下を覗き込んでみる。
特別変わった所は無い。
あるとすれば、少し萎れかけた冬薔薇がある位か。
自分が趣味の園芸で育てている、それを引っ張り出し、彼女の前へと持っていく。
彼女は、それを見てきゃらきゃらと、少し恥ずかしげに笑ったようだった。

「それ、それが、これからの旦那様へのバレンタインの贈り物ですさぁ」
「……これが?」
「はい。旦那様がお育てになったものをお贈りするのは、はなはだ失礼だとは存じておりますが、これにはそれを摘んでくるのが精一杯でしたさぁ」

何か、これも料理ができればよかったんですが、と、彼女は言う。
どうやら、散歩にと、車椅子で外へと出させてもらったときに、彼女が自分の殆ど動かない手で摘んできたらしい。
そしてそれを、この下に隠しておいた、と言う事らしいのだ。
萎れかけた赤い冬薔薇。
それよりも、もっと赤くなった彼女の頬を、軽く撫でてやる。

「……そうか。主が自分で?」
「はい。お庭までは連れて行かせて頂きましたが、それ自体はちゃんとこれ自身の手で摘んだものですさぁ」
「そうか……ありがとう」
「受け取ってくださいますかぁ?」
「ああ」

ふわりと、暖かい気持ちで、その冬薔薇を胸に挿した。
彼女はやはり、きゃらきゃらと、嬉しそうに笑った。



***

守塚 宙(もりつか そら)→宙飛
守塚 莉亜(もりつか りあ)→狂鳥

莉亜は外人設定。本名はマリア。宙んところに嫁に来たときに漢字にしたついでに一文字取った、みたいな。
リアは宙が大好き。宙はリアが凄く大切。そんな関係。




スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://ishmael.blog93.fc2.com/tb.php/344-deadf43b

«  | HOME |  »

プロフィール

紅露 柚梨

Author:紅露 柚梨
 **使用上の注意**
*突発的に何かを語りだします。生ぬるい目で見てやってください
*熱しやすく冷めやすいです。日ごとにテンションが違います。
*漫画と小説を愛しています。読むのもかくのも大好きです。
*食いつかれると無駄に食いつき返します。ご注意を。


最近の記事


グリムス


手書きブログ


ピアプロ


お気に入り
by redeyes_blra

最近のコメント


最近のトラックバック


カテゴリー


月別アーカイブ


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


ブログ内検索


RSSフィード


リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。